よく「〇〇なんですけど治りますか?」というお問い合わせを受けます。
  
 もちろん、症状やお体の状態を見てみないと分かりません。
 まれに、【あなたの所で治してくれるの?】という心の声が聞こえる気がすることがあります。
  
 その答えになるかもしれない、ある研究結果をご紹介します。
  
 Lambert, M. J. 1992 Psychotherapy Outcome Research:Implications for Integrative and Electic Therapists. Handbook of Psychotherapy Integration.
 という論文で、過去40年にわたる心理療法の効果研究(要因統制研究、メタ分析)を分析した結果を踏まえ、心理療法の効果において「何が効いているのか」について以下の結論を示したわけですが----。
 1:治療外の要因(Extratherapeutic Change)----40%
  - 偶然の出来事、クライエントが元々持っている強さ・リソース・能力。
2:共通の要因:治療関係の要因(Common Factors)----30%
  - 受容・共感、思いやり、はげまし、クライエントの治療への関与の質、セラピスト・カウンセラーとクライエントとの関係性、治療法についての同意など
3:希望・期待(Expectancy、Placebo effects)----15%
 4:モデルと技法(Techniques)----15%
  
 何をするか?は15%しか、結果に対してパーセンテージを持っていない
  
 ということです。
  
 その他にも、日本整形外科学会/日本腰痛学会が2012年に発表した腰痛診療ガイドラインでは、http://minds.jcqhc.or.jp/n/med/4/med0021/G0000533/0001
  
 日本人の腰痛人口は約2800万人。推定で国民の約4.5人に1人 40代から60代で約4割が腰痛を自覚しているという結果があります。
  
 急性腰痛は何もしなくても、1ヶ月たてば
  - 発症時を100%の痛みとして、58%の程度に改善する
- 仕事を休むような痛みも82%は復帰できる程度に回復する
- 発症後3ヶ月で、さらに緩やかな改善をしていく
- 12ヶ月で73%が再発する
という研究結果(15の論文を分析したレビュー)が出ています。
  
 また別の36の論文を分析したレビュー(12ヶ月以上の経過観察期間がある)では、
  - 発症の12ヶ月後38%は治癒している。
- 発症の6ヶ月後、84%は治癒している。
- 再発するのは60%
だそうです。
  
 かんたんにいうと、ほっとけばだいたい治るが、60-70%再発する。ということです。
  
 85%が病院では原因のわからない腰痛(非特異的腰痛)です。
  
 そして、慢性化する要因として
  - 体の状態(腰の動きや、筋肉の硬さ、神経学的なテスト)との関連は少ない
- 心理社会的要因の関連が大きい
- 運動不足はリスクファクターになる
 という統計結果が出ています(34の系統的レビューと17の診療ガイドラインの分析より)。
 
 心理社会的要因というのは、プライベートや仕事がうまくいっていなくてストレスを感じているかどうかということです。
 
  
 ちなみに
  そうです。
 
 
 慢性腰痛を改善するのに有効なのは
  - 運動(運動の種類に関係無く)
- 普通に活動する(安静は回復を遅らせる)
- 認知行動療法(考え方と行動を変える療法)は有効
ことです。
  
  
 当オフィスでは、立ち方・座り方・歩き方といった体のつかい方の指導と、そのベースとなる体作りのためのエクササイズを紹介していますが、素直に実践される方は、約2か月以内に90%割合で
 改善していっています。(10%は重度の神経症状や関節の変形、長年の慢性化されている方です。)
  
  
 改善しない方はほとんど、言い訳をして実践をしない方です。だいたいは、「まだここが痛い」「まだここが」という方です。そのような方は、ご自分が普段扱っている体のつかい方が偏っているという自覚、それを変えることが根本だという自覚がありません。
  
  
 というより、それを認めると、「自分が悪い」ということになると思い込んでいるのだと思います。それを認めると、「誰かに治してもらう」というやり方が通せなくなるからだと思っています。
  
  
 もし、図星だなと思われたら、少し見方を変えてみてください。
 悪いではなく、勘違いだと。勘違い・間違いは悪いことではありません。認めたら変わっていくだけです。
  
  
 あたりまえですが、健康には運動・食事・心の安定が必要です。
 これを無視してなんとかして欲しいと願うのは、
  - テストで100点とりたいけど勉強はしたくない
- 泳げるようになりたいけど、水に顔をつけるのは嫌だ
 
  
 といっている子供のようなものです。
  
  
  
 急性の痛み(溺れている人)は手助けをします。ですが、足のつくプールで、それに気付いていながら、溺れているふりを続ける人は、はっきり
  
  
 【自分の足で立ちなさい】
 と言いますので、よろしくお願い致します。それとも
 15%しか当たらないギャンブルをしますか?
  
  
 ※リラクゼーションだけが目的の方は、はじめにおっしゃってください。
 今までいったようなことは一切言いませんので安心して下さい。
  
  
 まずは一度、直接状態をみさせてくださいね。
 病院に電話で「治りますか?」と聞いて答えてくれる所がありますか?